放牧酪農について

 

放牧酪農にたどり着く

実は北海道でも放牧をしている酪農家は7%です。

 

北海道の牧場で働く中で、なぜ草食動物である牛に人間の食糧と競合する穀物を与えなければならないのか?という疑問から放牧酪農へと導かれました。牛には人間の食べられない草を人間の食べられる乳や肉に変えてくれるという素晴らしい力があります。

放牧酪農は奇跡の農法です

牛には牧草地を創り出すという素晴らしい力があります。

 

世界の中には草しか育たない、畑作ができない自然環境が厳しい地域があります。そんな厳しい気象条件の地域でも、牛や羊などの反芻動物を飼うことで人類は豊かに生きてくることが出来ました。

 

牛が野山を歩き回り、草を食べることで、野山が牧草地に変わります。牛がいることで野山の生態系が変わってしまうのです。牛たちが自らの食糧を生み出す生態系を造りだすのです。そしてお日様のエネルギーと牛・草・土の循環の調和が出来上がり、牧草地が永遠に持続します。

 

この絶妙な自然の調和を利用した放牧酪農を奇跡の農法と呼んでいます。

なぜ北海道で放牧酪農がなくなったのか

60年以上前の北海道の酪農家はみんな放牧をしていました。しかし、放牧をしている酪農家はほとんどいなくなってしまいました。

 

それは牛乳の生産効率のみを追い求めたからです。効率とはニワトリをケージに閉じ込めて飼うように、牛たちも一年中畜舎に閉じ込めて、運動エネルギーを最小にすること。草の代わりに穀物などのエネルギーの高い餌を牛が健康を損ねるギリギリまで与えることです。一頭当たりの乳量を最大にすることが目的となりました。

 

この昭和30年代に起きた、放牧から舎飼いへの転換はアメリカの余剰トウモロコシを輸出するためのアメリカの戦略であったともいわれています。

 

今でも北海道の酪農が生き残る道は、一頭当たりの乳量を最大にすることと規模拡大であると信じられています。

放牧酪農は循環を生み出す
図を見てわかるように。放牧酪農は土と牛・ふん尿・草のシンプルな循環で成り立っている。
一方舎飼いは介護酪農と言わてる通り、食べる世話から、下の世話まで人間がやらなくてはならない。酪農は運搬業と言われるゆえんである。
道産飼料100%の取り組み

栄養価の高い草を食べることにより、穀物飼料を減らすことが出来ます。

 

私たちは、遺伝子組み換えでない穀物飼料を使っています。遺伝子組み換え作物は種子と除草剤とセットで大企業に農家が利益を吸い取られてしまうため、遺伝子組み換えでない穀物飼料を探していました。遺伝子組み換えでない穀物飼料を使うことで、農家を応援しています。

 

5月から11月までの放牧期間は道内産飼料100%です。北海道の子実コーンとさとう大根の絞り粕(ビートパルプ)を使っています。

放牧酪農を普及する理由は環境保護、自然保護です

放牧酪農が舎飼いの酪農に対して環境にやさしいのは、図を見ると直感的にわかると思います。舎飼いに必要なすべての機械が必要ありません。牛が自分で草を食べて、ふん尿も自分でまいてくれます。機械がいらないので環境に悪い排気ガスが出ません。

放牧酪農は環境にやさしい

現在の北海道の酪農の一番の問題は、ふん尿の処理にあります。外国から輸入された穀物を餌の半分与えられ、面積当たりの頭数が過密酪農場において、牛たちのふん尿が、畑に還る量を超えています。放牧された牛たちの食べる放牧牛は、栄養価値が高いので、穀物飼量を減らすことができます。

牛の頭数を減らし、牛のげっぷを減らす

牛のげっぷに含まれるメタンガスの地球温暖化係数は二酸化炭素の25倍です。牛の頭数を減らせば、メタンガスを減らすことができます。

 

畜舎のコンクリートの上で生活している牛に比べて、放牧の牛は長生きをします。そのために、後継牛の頭数が少なくて済みます。

 

牛が子牛を生んで乳を出し始めるまでに2年かかります。今の牛は2.5産で淘汰されます。搾乳牛が100頭いれば毎年40頭の後継牛が必要になります。牛が長生きをして4産だとすると、後継牛は25頭で済みます。

 

放牧によりメタンガスを減らすことができます。

機械がいらない

舎飼いでは牧草の収穫と運搬に、ふん尿の処理と運搬に機械が必要です。機械を動かすためには当然化石燃料が必要です。機械を動かせば、二酸化炭素を排出します。

 

牧草収穫とふん尿処理だけではなく、機械で草を刈る採草地は5~10年おきに草地更新をしなければなりません。牧草畑が雑草畑になってしまうからです。草地更新とは、除草剤で雑草を殺して、畑の土を耕して起こします。雑草は簡単に死滅しないので2回から3回除草剤をまくこともあります。そのあとに種をまいて新しい牧草地を造ります。

 

放牧をしていると、雑草畑になることはありません。永年使える牧草地です。草地更新の必要がなくなるので、草地更新のための化石燃料もいらなくなります。

 

豊かなふるさとづくり、農村づくり、文化づくり
「放牧酪農の推進をしなければ農村社会は衰退する」という時代が訪れていることを日本社会は認識しなければならない。-荒木和秋-

放牧酪農を普及する目的は、豊かなふるさとづくり、農村づくりです

上記の図を見て直観的にわかると思いますが、放牧酪農は舎飼いの酪農に比べると儲かります。搾乳牛一頭当たりでは、約倍の利益があります。舎飼いの人が100頭飼うのと、放牧の人は50頭で同じ利益が出るわけです。つまり、少ない面積で経営が成り立つので、大規模化しなくても食べていけるので、農家戸数が減りません。

 

牛の数が少なくて済むので、仕事の量も少なくて済みます。仕事が魅力的であると後継者が後を継ぎますので、農家戸数が減りません。農村の人口を維持することができます。

 

「人は住めば都をつくる」というのが私の説です。余裕があると人は居心地の良い環境を造ります。それがお国自慢になります。文化とはお国自慢です。

 

-酪農の生活スタイルを広げるためにも酪農民自らが放牧を中心とした営農システムに変えていかなければならない。たとえTPPに対する政策支援によって酪農の保護が行われたとしても、担い手の激減によって日本酪農は内部崩壊を起こすことが良そうされるからである。-荒木和秋―

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